桜空あかねの裏事情
「子供相手に……ね。一般社会に馴染んだお嬢さんには悪いが、異能者社会にそのような慈悲など有りはしない」
あかねの言葉を気にも止めず、ジョエルは淡々と事実を言い放つ。
「お嬢さんは、やはり自分の立場を分かっていない。無防備過ぎるにも程がある」
「いきなり何?あれぐらいの子と話しちゃダメなわけ?」
「当然だ」
反論を許さぬかのように強い口調で言ってのけられ、あかねは視線を外し愚痴を零すように呟く。
「意味わかんない。普通の子じゃない」
「普通?何を言って……まさか、気付いてなかったのか?」
「何が?」
あかねの反応にジョエルは予想もしてなかったのか、僅かに驚きの表情見せる。
そしてすぐに落胆にも近い溜め息を吐く。
「あれだけ近くにいて気付かぬとはな。君は無防備なだけではなく鈍感でもあるのか」
「は?何の話?」
聞き返すがそれは独り言だったらしく、答える気配はなかった。
だがまだ話す事があるのか、ジョエルは変わらずに言葉を続ける。
「そんな事より、どうだった?一人くらいは見つけられたか?」
その問いに、あかねは何故か言葉が詰まる。
「それは………」
「それは?」
「えーと、見つけられたかって言うと微妙なんだけど……気になる人はいた!」
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