桜空あかねの裏事情

「子供相手に……ね。一般社会に馴染んだお嬢さんには悪いが、異能者社会にそのような慈悲など有りはしない」


あかねの言葉を気にも止めず、ジョエルは淡々と事実を言い放つ。


「お嬢さんは、やはり自分の立場を分かっていない。無防備過ぎるにも程がある」

「いきなり何?あれぐらいの子と話しちゃダメなわけ?」

「当然だ」


反論を許さぬかのように強い口調で言ってのけられ、あかねは視線を外し愚痴を零すように呟く。


「意味わかんない。普通の子じゃない」

「普通?何を言って……まさか、気付いてなかったのか?」

「何が?」


あかねの反応にジョエルは予想もしてなかったのか、僅かに驚きの表情見せる。
そしてすぐに落胆にも近い溜め息を吐く。


「あれだけ近くにいて気付かぬとはな。君は無防備なだけではなく鈍感でもあるのか」

「は?何の話?」


聞き返すがそれは独り言だったらしく、答える気配はなかった。
だがまだ話す事があるのか、ジョエルは変わらずに言葉を続ける。


「そんな事より、どうだった?一人くらいは見つけられたか?」


その問いに、あかねは何故か言葉が詰まる。


「それは………」

「それは?」

「えーと、見つけられたかって言うと微妙なんだけど……気になる人はいた!」


.
< 223 / 782 >

この作品をシェア

pagetop