桜空あかねの裏事情
「ほう……」
ジョエルは目を細める。
「葛城駿って人なんだけど」
「葛城駿……か。聞かない名だな。生徒か?」
「ううん。養成所の非常勤だって。前にオルディネに所属申請出したことあるって言ってたよ」
「何?それは本当か?」
あかねは素直に頷くと、更に言葉を続ける。
「今もチームに所属してないみたいだけど、オルディネには興味あるって言ってた」
駿から聞いた話を所々省いてはいるが、全てを伝えるよりかは要点だけ言った方が、余計な詮索されないだろう。
そして彼が、その情報を元に判断すると推測するあかね。
「なるほど。彼の身元はアーネストに頼むとしよう。今日はお嬢さんのお手柄だな」
「やった!」
あかねは満面の笑みを浮かべる。
その様子を見て、ジョエルは呆れ笑いのような表情を浮かべた。
「……そんなに嬉しいか?」
「もちろん!それにジョエルに褒められたし」
「ッ……」
微かにジョエルの息を呑む男が聞こえて、あかねは不思議そうに尋ねる。
「どうかした?」
「いや……では、帰るか」
「うん。あ、その前にヴィオレットに寄ってもいい?」
「構わないが、何かあるのか?」
「ちょっとね」
敢えて結祈の依頼とは言わず、あかねはただ微笑むだけだった。
.