桜空あかねの裏事情

「私が?」

「もちろん!ジョエルさんがご執心の女の子ッスからね」

「は?何言って」

「だってそうっしょ?君の事調べても基本的な情報しか出てこないんスよねー」


言葉を遮って瀬々から告げられた事実に、黙り込む。
彼は黎明館に住んでいること、そしてジョエルやアーネストと接点があることも知っていて、敢えて聞いているのだろう。
あかねはそこで初めて瀬々が情報屋であると信じる事が出来た気がした。


「先輩が君の事調べても全く出て来ないって嘆くし、強行手段を取っても妨害される始末。これって変じゃないスか?」

「さぁ……腕が無いんじゃないの?」

「まさか。俺よりよっぽど優れてるッスよ。でも、そんな先輩が調べられないってことは、誰かが裏で動いてるはずなんスよ」


試すような口調に、あかねはただ沈黙を重ねる。


「例えば……アーネストさんが妨害して、ジョエルさんが隠してる。これって凄い辻褄が合わないッスか?」

「何の辻褄か全然分かんないんだけど」


否定するが内心は明白だった。
ジョエルの話からすれば自身の立場、つまりリーデル候補である事は容易に明かせない事実であり、それを隠し通す為ならどんな手でも使うだろう。

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