桜空あかねの裏事情
安堵したように微笑む朔姫に思わず流されそうになるが、聞き逃してはならない言葉を聞いた気がしたあかね。
「……山川さん」
「はい」
「下着とか結祈に用意して貰ってるの?」
「ええ。いつもそうしてもらってるから」
「…………」
確かめるように聞いてみたが、朔姫の返答に沈黙してしまうあかね。
彼女にはあまりそういう事を意識しない性格なのだろうか。
しっかりしているようで実は天然なのかも知れない。
頭の中で様々な思考が飛び交うが、本人がそれでいいならあまり触れないでおこうとあかねは心中で頷く。
「あかね」
黙り込むあかねを見かねて、結祈が声を掛ける。
「宜しければ、寝間着と下着も自分が用意しますが」
「いや、いい。それだけは……遠慮する」
同性ならまだしも、異性に下着を用意してもらうのは流石に気が引ける。
そう思ってあかねは断りをいれるが、結祈が残念そうに見えるのは気のせいだろうか。
「そうですか……」
「うん。気持ちは嬉しいよ」
落ち込み気味の結祈を気遣うように言えば、彼は普段の笑顔に戻る。
「雑誌に書いてありましたが、可愛らしい下着の方が好感度があがるそうですよ」
「え?あ……そうなんだ」
――雑誌って……一体何読んでるの?
あかねが初めて結祈に疑問を持った瞬間だった。
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