桜空あかねの裏事情

ヴィオレット 円卓の間


「昶、君は馬鹿か?前にも言っただろう。君ぐらいの年頃の異能者は、格好の餌食なんだ」

「いや、でも…」

「駿くんの言う通りよ。アタシ達は本当は、君を連れて行きたくないのよ」


円卓の間へと足を踏み入れれば、駿とギネヴィアが昶を宥めている姿が目に入る。
聞こえてきた会話からして、昶がまた我が儘を言ったのだろうか。


「お待たせしました」

「結祈!」


声を掛ければ、昶が輝いた目で駆け寄ってきた。


「聞いてくれよ〜。オレ、あかねを早く助けたいからさ、それぞれ単独行動で手分けして探す方がいいって提案したんだけど、二人が反対するんだよ」

「当然だ。それだけ危険を伴うんだ」

「その通りよ。結祈に泣きついても無駄よ、昶くん」


腹を決めているのか、涼しい顔で告げる二人に、結祈は苦笑して、昶に向き直る。

「そうですね。確かに良い案ではありますが、自分も反対です。昶の気持ちも分かりますが予定通り、駿と行動して下さい」

「ガーン!」


盛大に落ち込む昶を、軽く慰めて駿達に任せると、結祈は少し離れた場所で、真剣な眼差しでどこか遠くを見つめるアーネストの元へと歩み寄る。


「…調子はいかがですか?」


結祈が控えめに声を掛ければ、アーネストは口元に弧を浮かべて微笑んだ。


「ああ…順調だよ。とても、ね」

「そうですか。計画は貴方に頼りきりではありますが、あまり無理をなさらないで下さいね」

「ふふ。ありがとう」


互いに微笑むと、結祈は彼の隣の席に座る。


「ジョエルにはバレなかったかい?」

「はい。怪しまれてはいましたが、計画自体は知られていません」

「なら、とりあえず大丈夫かな。まぁ…彼もきな臭い事してるから、油断は出来ないけれど」


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