桜空あかねの裏事情

確信を含んだ言動で追求するが、陸人は変わらず怪訝な表情を浮かべたままだった。
しかしほんの僅か、彼の目が揺らいだのを見逃さなかった泰牙は、間違っていなかったと推測から確信へと変わる。


「考え過ぎじゃない?」

「そうかもね。間違ってるなら否定してくれて良いんだよ。さっき君が言ったようにさ」

「ふーん……言ってくれるじゃん」


泰牙が先程のお返しと言わんばかりの挑発的な言葉を返せば、陸人は更に意地の悪い笑みを浮かべた。


「その通りさ。あかねちゃんはアンタをオルディネに入れたがってる」

「……そっか。でも随分あっさりと教えてくれるね」

「別に隠す事じゃないしね。むしろあかねちゃんとアーネストの計画を邪魔出来て楽しいよ」

「うわ……やっぱ君って結構、性格悪いね」


――そして俺は、ここにいるべきじゃない。
笑みを貼り付けたまま、泰牙は裏口へ体を向ける。


「それなら尚更、早くここを去らないとね」


これ以上、関わってしまえば元に戻れなくなる。
再び意を決して、既に開いてる裏口へと一歩足を踏み入れる。


「俺を仲間にしたって良いことなんかないよ。むしろ悪い事ばかりだ」

「だろーね。だからボクとしてはアンタがそう思ってくれて、すっごく嬉しいよ」


嘲笑うような笑みを浮かべてそう言い放つ陸人に、何も言わず背を向けたまま、もう一歩踏み出す。
そしてもう一歩踏み出そうとした時、背後からまた声が聞こえた。


「それにしても、あかねちゃんも見る目が無かったねー。折角アーネストにも協力してもらったのにさぁ」


――言われなくても、申し訳ないと思っている。


「健気に向き合っても結局は逃げられちゃってさ。ジョエルは何を見て選んだのか知んないけど、リーデル候補とか言っても所詮はその程度だよねー」


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