桜空あかねの裏事情
第三者の声に思わず振り返るが、瞬時に矢一が前に立った事により視界に映ることはなかった。
「何の用だ?」
「ムム!ナンカツメターイ!」
声の高さからして少女だろうか。
――なんか聞き覚えが……。
気になって矢一の後ろからそっと恐る恐る顔を出すと、こちらを見る緑色の瞳と目が合った。
「あ…!」
「ヤッホー♪ゲンキダッタ?」
驚きを隠せないあかねに対し、少女はまるで友達と言わんばかりに陽気に手を振っている。
――間違いない。あのオレンジ髪。
――藍猫に行った帰りに会った子だ。
――何でここに。
警戒の色を強めながら少女を見ていると、それに気付いたのか、矢一はあかねを自分の背に隠した。
「アー!カクレチャッタ!」
「質問に答えろ。アヴィドが、我々に何の用だ?」
「!」
矢一から放たれた言葉に、あかねは目を見開く。
――うそ。あの子が?
――泰牙さんを狙ってる人達の仲間……。
「ケッ!随分と酷い言われようじゃねーか、オイ」
新たに聞こえた声に、あかねは再び顔を出す。
見れば少し離れたところに、フードを被った銀髪に猫目の青年の姿があった。
気怠そうに、こちらに向かって歩いている。
「アーッ!ヤットキタ!オソイヨー!」
「チビが早過ぎんだろ」
「ダッテチョーホーノオネエチャンガ、オシエテクレタンダモン!」
「は?アイツ来てたの?」
「ウン!オシゴトダッテ!」
「へー…」
仲間であろう少女の話が終わると、青年は挑発的な笑みを向けながら、あかね達の方へと向き直る。
「んな警戒すんなって。一応、オレらとアンタらは協力関係にあるんだからよ」
「否。我は拒否する。主が勝手に決めた事だ」
「ハッ!その主に従ってんなら、結局同じだろーが……ん?」
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