桜空あかねの裏事情

第三者の声に思わず振り返るが、瞬時に矢一が前に立った事により視界に映ることはなかった。


「何の用だ?」

「ムム!ナンカツメターイ!」


声の高さからして少女だろうか。

――なんか聞き覚えが……。

気になって矢一の後ろからそっと恐る恐る顔を出すと、こちらを見る緑色の瞳と目が合った。


「あ…!」

「ヤッホー♪ゲンキダッタ?」


驚きを隠せないあかねに対し、少女はまるで友達と言わんばかりに陽気に手を振っている。

――間違いない。あのオレンジ髪。
――藍猫に行った帰りに会った子だ。
――何でここに。

警戒の色を強めながら少女を見ていると、それに気付いたのか、矢一はあかねを自分の背に隠した。


「アー!カクレチャッタ!」

「質問に答えろ。アヴィドが、我々に何の用だ?」

「!」


矢一から放たれた言葉に、あかねは目を見開く。

――うそ。あの子が?
――泰牙さんを狙ってる人達の仲間……。


「ケッ!随分と酷い言われようじゃねーか、オイ」


新たに聞こえた声に、あかねは再び顔を出す。
見れば少し離れたところに、フードを被った銀髪に猫目の青年の姿があった。
気怠そうに、こちらに向かって歩いている。


「アーッ!ヤットキタ!オソイヨー!」

「チビが早過ぎんだろ」

「ダッテチョーホーノオネエチャンガ、オシエテクレタンダモン!」

「は?アイツ来てたの?」

「ウン!オシゴトダッテ!」

「へー…」


仲間であろう少女の話が終わると、青年は挑発的な笑みを向けながら、あかね達の方へと向き直る。


「んな警戒すんなって。一応、オレらとアンタらは協力関係にあるんだからよ」

「否。我は拒否する。主が勝手に決めた事だ」

「ハッ!その主に従ってんなら、結局同じだろーが……ん?」


.
< 659 / 782 >

この作品をシェア

pagetop