桜空あかねの裏事情
そして力を込めるように、石をぎゅっと握り締める。
するとあかねに呼応するように、先程よりも強い輝きを放ち出した。
「アッ!ナンカヒカッテル!」
「逃げる気かぁ?…うおッ!?」
石の輝きに気付いた少女に、青年は反応して踏み込もうとするが、行く手を阻むように足元に苦無が突き刺さる。
「お前達の相手は我だ」
「チッ…!良いようにこき使われてるテメェなんざに、負けねぇよ」
青年が手を挙げると、彼の周りに無数の青い火の玉が浮かび上がる。
「喰らいな」
「っ…」
矢一に目掛けて、一斉に襲い掛かる火の玉。
以前見たものより断然に速さも威力があるそれに、あかねの体は強ばるが、矢一は見事に全て交わし、青年に向かって苦無を投げつける。
突如始まった戦闘。
その光景に動揺するあかねだが、矢一に言われた事を思い出し、再び石を握り締める。
――っ集中。集中しなきゃ…!
石は更に輝きを増し始めるが。
「あかね様ッ!」
「!」
黒貂の叫び声に顔を上げると、見覚えのある火の玉が自分目掛けて降り注ぐのが目に映った。
あかねは慌てて避けるが、そのうちの一つが足を掠める。
「きゃっ」
「あかね様!」
よろけるあかねを、黒貂は素早く受け止める。
「あ、ありがとう。黒貂」
「いいえ。それよりお怪我は…!」
「掠っただけだから大丈夫」
黒貂を安心させる為、そう笑顔で答える。
そして少し離れた場所で、こちらの様子を伺う少女を、あかねは険しい顔つきで見据えた。
「痛いんだけど」
「ゴメンネー!デモアッチガデキナイナラ、アタシガトメナイト♪」
少女は再び周囲に火の玉を発生させる。
「だったら……え」
視界から少女が消え、代わりに映ったのは黒の衣と亜麻色の髪。
黒貂があかねを庇うようにして、躍り出たと分かるのに時間は掛からなかった。
「モーッ!ジャマシナイデヨー!」
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