桜空あかねの裏事情
「ソウソウ!ダカラ、コレハオシゴト♪」
「はぁ……それなら仕方ありませんわね」
女は溜め息を吐くと、どこからともなく鞭を取り出す。
「子供に手を出すのは気が引けますが、悪く思わないでちょうだいね」
「っ…」
「モウニゲラレナイヨーダッ!」
「“来ないでっ!!”」
強く言い放つが、何故か少女と女に変化が見られない。
それどころか、あかねとの距離を少しずつ縮めて、じりじりと詰め寄ってくる。
――うそ…っ。
――言霊が効かない…!?
――だったら……。
追い詰められつつも、あかねは負けじと雹らしきものを周囲に発生させる。
――葛城さんとの特訓で
――未完成のままだったけど
――もうこれしかない…!
「これは…」
「エーッ!コオリモアヤツレルノ?メンドクサーイ!」
ふてくされる少女。
だがその言葉とは裏腹に、笑みを浮かべ、どこか楽しそうにも見えた。
「アタシノホノオト、ドッチガスゴイカナ♪」
少女は揚々と火の玉を発生させると、あかねに目掛けて降り注ぐ。
あかねは発生させた雹を、自身の目の前に集めて壁を作る。
だが少女の炎の威力が強いのか、雹の壁は砕けてしまい、その衝撃にあかねは倒れ込む。
「うっ!」
「オモッタヨリ、ヨワイ!デモイーヤ♪」
少女は再び火の玉を作る。
「フフフッ♪シバラク、オトナシクシテテネ♪」
――もう駄目ッ…!
襲い掛かる炎に、あかねは身を強ばらせ、きつく目を閉じた。
少女の炎が、今にもあかねに降り注ぐ瞬間。
突如、目を開けられない程の強風が襲う。
「アワワッ!?」
「っ!」
少女は体制を崩し、女は足に力を入れて耐える。
あかねもまた、吹き飛ばされないように身を固くする。
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