桜空あかねの裏事情

「ウグッ…!」


そう思うのも束の間、少女は壁に激突して、そのまま倒れ込む。


「クレア!…くっ!」

「次は君だよ」


倒れた少女の名を叫ぶ女にも、泰牙は容赦なく異能を使って行く手を阻み、攻撃する。


「あぁっっ!」


吹き飛ばされ、痛みにうずくまりながら地に伏せる女。
その様子を観察しながら、泰牙は女に近付いて冷めた瞳で見下ろした。


「俺の記憶が正しければ、君は補助系の能力だと思ったんだけど」

「だからっ……なん、ですの…」

「やり過ぎちゃったかなぁと思っただけさ。でもまぁ、別にいいか」


興味なさげにそう吐き捨てれば、泰牙は自分の獲物である鎌を振り上げる。


「殺しちゃえば、関係ないからね」

「ッ…」

「泰牙さん!」


あかねは慌てて名前を叫ぶと同時に、咄嗟に武器を持つ彼の腕を両手で掴んだ。


「ちょい!何してんの、あかねちゃん!危ないよ!」

「駄目です!」


真剣な顔つきであかねが強く言い放つと、泰牙は面を食らったように驚いた顔する。
だがそれはほんの一瞬で、すぐに笑みを貼り付ける。


「冗談だよ。君の前ではしないから」

「私の前じゃなくても、そういうのは駄目です」

「……ははっ。君ってやっぱり優しいね。優し過ぎて本当に…」

「……」

「でもあちらさんは、そうは思ってくれないみたい」


そう呟いた途端、泰牙は素早く鎌を下ろし、あかねを自身の背に隠す。
その動きに戸惑うあかねだが、その間にも泰牙は身を守るように、自分達を目として竜巻を起こす。
だがそれも束の間。
竜巻が突如、炎を纏い始めた。


「熱っ」


熱風に目を伏せるあかね。

「少し待ってね」


泰牙の反応は至極冷静で、炎を纏った竜巻を一点に集めて、球状に形成する。


「“疾風弾”」


ボールを打つように、鎌で炎を纏った風の球を、地に伏す女に向かって放った。


「うおっ!?」


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