桜空あかねの裏事情
「大丈夫だよ、あかね嬢。君はまだ所属者ではないから、チーム戦には参加しない」
「あ…」
その言葉にあかねは少なからず安堵する。
だが同時に、自らの心情を言い当てられ、恥ずかしさのあまり俯く。
「だから心配しないでいいよ。あかね嬢は私達と共に、オルディネの勝利を願おう」
「……はい」
アーネストが笑みを絶やさず優しく諭せば、あかねは照れながらも頷いて笑顔を見せた。
「クックッ……強気なお嬢さんにも、恥じらいというものがあったとはな。存外、愛らしい」
「む」
様子を見ていたジョエルが楽しげに喉を鳴らす。
「それとも単純に、アーネストに気を許しているのか。忠告しておくが、奴の人の良さは仮面だ。巧言令色と言ったところか」
皮肉なのか非難なのか。
辛辣な言葉を掛けるジョエルだが、アーネストは気にも止めてないと言わんばかりに、笑みを崩さない。
「随分酷い言われようだね。確かに仏頂面の君より愛想は良いけれど、他人に媚びたりはしないさ。それにあかね嬢と私は仲良しなだけだよ。ね?」
「え?あ…そうですね。アーネストさん優しいですし、頼りになります」
「ふふ……だそうだよ」
あかねが素直に答えれば、どこか勝ち誇ったような笑みを浮かべるアーネスト。
ジョエルは終始無言になり、あかねは首を傾げる。
「――話は以上だ。急に呼び出して、すまなかったな」
「ううん。大丈夫」
「では陸人、紅晶」
「はーい」
「かしこまりました」
陸人と紅晶は同時に席を立つ。
「あかね様、また後程」
「あ、うん」
あかねが手を振って見送ると、紅晶は軽く会釈をして部屋を後にする。
陸人と紅晶が部屋を後にするとて、ジョエルが近寄ってきた。
「…一応報告しておくが、これから陸人と紅晶を連れ、協会へ赴く」
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