桜空あかねの裏事情
「あのさアーネスト。もしかして結祈くんってさぁ」
「うん、皆まで言わないでいいよ。その通りだから」
「やっぱり。隅に置けないなぁ」
「でもライバルは多いし、相手は疎いし、前途多難ってところかな」
「え、そうなの?」
どこか意味深な会話を広げるアーネストと湊志。
彼らから少し距離をあけたところで、どこか焦っている結祈の姿があった。
あかねは首を傾げつつも、様子を伺いながら近寄る。
「結祈、どうかした?」
「え!?…ど、どうかしましたか?」
「いや…さっきからそわそわしてるから、ちょっと気になって。何かあった?」
「い、いえ…大丈夫ですよ。大したことじゃありませんので」
「そう…」
動揺していたのは明らかだったが、結祈は言及しないだろうと思い、あかねはそれ以上の追求はしなかった。
「それより、ついにここまで来ましたね」
「え?あぁ……」
一瞬、結祈が何を言っているのか分からなかったが、すぐに当然のように思い当たった現実に、あかねは言葉を無くしそうになる。
「正直に言いますと、貴女がここまで音を上げずに来るとは思いませんでした」
「あはは。はっきり言うね」
苦笑するあかね。
結祈は悪びれつつも、話を続ける。
「貴女は異能者として、とても未熟で幼くて。それなのに、リーデルを目指すことになってしまった。さぞ多くの難題や苦悩を、突き付けられたことでしょう」
辛そうな表情を見せながら、まるで自分のことのように結祈は語る。
「ですが貴女は、それらを乗り越えてきました。その上新たな仲間を見つけ、オルディネに導いてくれました」
「そんな…導いてなんかいないよ。昶達は自分の意志で、オルディネにやってきたんだもの」
自分の道は自分の意志で決めるもの。
例えそれが、一時の感情でも仕組まれた道だったとしても。
あかねは彼等に、後悔などしてほしくなかった。
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