桜空あかねの裏事情

「それでも彼等が、仲間として私達の傍にいるのは、貴女という存在があったからです。貴女が彼等を見つけ、声を掛け、手を差し伸べなければ、決して成し得なかったことでしょう」

「結祈……」

「やはり貴女は、ジョエルが言ったように特別なのだと思います」


特別。
その言葉に陸人に言われた事が重なり、呼吸が止まりそうなる。

――私は……。

崩れそうになる表情を隠すように、あかねは呼吸を整え、笑みを浮かべる。


「ふふ……結祈って本当、大袈裟だよね」

「そうですか?自分が思ったことを、正直に述べただけなのですが……もし気分を害されたようなら、善処致します」

「いいよ、そのままで。私はそういう結祈が好きだから」

「えっ!?」


あかねが笑顔のままそう伝えれば、結祈は途端に頬を染め、誰が見ても分かるほど動揺した。


「結祈?」

「おやおや。流石はあかね嬢」

「何がですか?」

「ふふ…やはり君は素晴らしい。しかし同時に、末恐ろしい」

「む。それって貶してます?」

「まさか。褒めているよ。人の心を掴むのが、とても上手だと」

「え?」

「す、少し席を外します…!」


まるで居たたまれなくなったように、結祈は足早に立ち去る。
あかねは声を掛ける間もなく呆然としていると、不意に笑い声が聞こえた。


「くっ…あはは!結祈くんったら、あんなに動揺しちゃって。可愛いなぁ」

「何かまずいこと言っちゃってたのかな……」

「いいや?むしろその逆だよ。っ…はは!」


尚も肩を震わせ、笑い続けている湊志。
彼を見続けていても、答えが見つかるわけでもなく、あかねの中で疑問がますます膨らむ。


「……面白いことでも言ってたとか?」


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