桜空あかねの裏事情

「確かにオルディネは、変わり者が多いって感じがするよ」

「ジョエルと陸人は言わずもがな、朔姫は天然だし、紅晶は世間知らずで、結祈も何だかんだ言って腹黒いものねぇ」

「ってことは、マシなのはあかねちゃんや昶くんぐらいかぁ……」

「それはどうかしら」


泰牙の呟きに、ギネヴィアは曖昧に答えた。


「昶くんはともかく、あかねちゃんは相当のくせ者だと思うけど?」


相当のくせ者。
その言葉に泰牙は懐疑的になるものの、思い当たる節もあり、何も言わず耳を傾ける。


「一見ただの少女かと思えば、自分をちゃんと持ってて、妙に達観したとこがあって、それで……いつの間にかみんなの中心にいるのよねぇ」


あかねと初めて会った時、素直で可愛い子という印象だった。
同年の朔姫に比べ表情が豊かで、陸人のしつこい問い掛けにもきちんと答えていて、愛嬌があった。
だからこそ、ジョエルによってリーデル候補に仕立て上げられ時は、少しばかり同情していた。
だが同時に、彼女と接触していく中で交わした言葉や、もたらされた情報を元に疑問を抱いていた。
異能社会では名門中の名門である生家の事すら知らない世間知らずかと思えば、異能者である事、それ故に一般人から忌避の対象になる事を自覚しているにも関わらず、彼等に嫌悪を抱くこともなく、それどころか異能を全く使えないという衝撃の事実。
何と言っていいのか分からないほど、彼女の存在は常識を逸脱していた。
よってギネヴィアが抱いた最終的な印象は、異質な子になった。
そしてそんな限りなく一般人に近い異能者である少女が、昶達をオルディネに所属させ、信頼を得ている辺り、それに間違いはなかったとギネヴィアは密かに自負している。


「その上、あの用心深い変態共……ジョエルやアーネストでさえ手懐けてるでしょ。素直で良い子だけど、そんな子をアタシはまともと思えないわ」


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