桜空あかねの裏事情
どこか楽しげに笑みを浮かべるギネヴィアに対し、泰牙はただ苦笑した。
「あー……遠慮しとくよ。俺はあかねちゃんの傍にいたいだけだから」
「ふふっ。残念ね……あら?」
不意に振動を感じて、ギネヴィアは内ポケットから携帯を取り出す。
画面を開くと新着メールが届いており、ボタンを押して確認すると、差出人の名前を見て思わず笑みが零れた。
「どうしたの?」
「これはまさしく、ウワサをすればってカンジね」
「噂…ってことは」
「そう。アナタの大好きなあかねちゃんからよ」
ギネヴィアは携帯を泰牙に渡す。
画面を見ると、差出人のところにあかねちゃんと書かれており、すぐ下には彼女からの文章が書かれていた。
何やら今日の夕食を、ヴィオレットで取ることになったらしく、みんなもどうかという誘いの内容であった。
彼女らしい文面に、泰牙は思わず頬を緩ませる。
「返事はどうするの?」
「今日はオフだし、もちろんイエスよ」
「なら今日はステーキだよね?これは盛り上がっちゃうな〜!」
ヴィオレットで夕食を取ることが余程嬉しいのか、泰牙は少年のようにはしゃいぎながら喜ぶ。
「なんなら、アナタが返事送る?」
「え!いいの!?」
ギネヴィアの提案に、泰牙は途端に目を輝かせる。
長年の逃亡生活の所為か、泰牙は一般社会の常識には、非常に疎かった。
故にコンビニや電車などを知ったのも、オルディネに来てからで、携帯もまた例外ではなかった。
ネットというもの使って、調べ物が容易に出来て、カメラがなくても写真が取れ、一瞬にして相手に言伝を送れるなど、便利な機能を兼ね備えるその存在に、泰牙は興味津々だった。
「あかねちゃんや昶くん、というよりみんな持ってるよね。俺も欲しいな〜」
「ならショップに行けばいいんじゃない?」
「え?お店に売ってるの?」
「そりゃあ、携帯も商品だしねぇ。ちなみにショップも色々あるから、ちゃんと選ばなきゃダメよ?」
「なるほどね〜」
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