桜空あかねの裏事情


「あらら……みんな違うんだね。ますます迷っちゃうよ」

「そうねぇ。みんな一緒に買ったわけじゃないし。陸人は確かHardBankだったわね」

「ジョエル殿は?」

「ジョエルは……確か…」


泰牙のさり気ない問いに、ギネヴィアは次第に言葉に詰まっていく。


「…何だったかしらね。誰か知ってる?」

「知らないっす。つかジョエルが携帯使ってるとこ、オレ見たことない」

「私も。朔姫は?」

「ないわ。結祈なら知ってるんじゃないかしら」


あかねと昶、朔姫は一斉に結祈に期待の視線を向ける。
しかしその期待とは裏腹に、結祈はぎこちなく苦笑した。


「ええと、所持していた記憶はあるのですが……その、機種までは覚えてはいなくて」

「そうなのかぁ……でも一応持ってるってことか。意外だな」

「だよね。いっつも部屋に引きこもって本ばっか読んでるし、機械オンチっぽいのに。というか目が悪そう」


さり気なくあかねが呟くと、一瞬にして辺りが静まり返る。


「えっと……何かまずいこと言いました?」

「あかねちゃんったら、見かけによらず豪胆なのねぇ」

「え?」

「あなたのそういうところ、ある意味凄いと思う」

「朔姫まで……」


ギネヴィアの言葉に首を傾げると、朔姫にまで言われてしまい、あかねは戸惑いを隠せなかった。


「やっぱり君って、面白いよねー!ホント良い根性してると思うよ……ぷぷっ!」

「ちょっと泰牙さん!それどういう意味ですか!?」


問い詰めても、泰牙は答えるどころか笑うだけで、更には駿や朔姫までも肩を震わせ笑い出す。


「もう……一体なんなの」


一人だけ状況を飲み込めないあかねは、ただそう言葉を零すしかなかった。


.
< 712 / 782 >

この作品をシェア

pagetop