○○彼氏。【完】

そして───


「てか叶汰、手繋ぐのだけでも精一杯って感じじゃいつまで経ってもキスなんてできないし。ほんと、草食すぎて自分に自信なくなる」


・・・・・トドメの言葉。


恐らく、草食系の部類に入る俺は、そういう行為ができなかった。


それはもちろん、彼女に魅力がないとかではなく、ただ単に恥ずかしくて手が出せないという理由だった。


「じゃ、そういうことだから」


そう言って彼女・・・・・元カノはなんともあっさりと別れを告げて出ていった。


はぁ。最悪。


近くにあった椅子に座り込み、クシャっと前髪を握ったとき、カタン、とドアの方で音がした。


目を向けてみると、そこには一人の女の子がいて。


あー、どっか行ってくれないかな。



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