○○彼氏。【完】

目の前で、無理矢理作ったような笑顔で言う女。


「優希くん、好きです。あたしと、付き合ってください」


そう言ってチョコを差し出し、頭を下げる。


「・・・・・あぁ」


少しの沈黙のあと、俺はそう一言いってチョコを受け取った。


「・・・・・えぇ!?」


ガバッと頭を上げ、涙目になりながら驚いた表情をする彼女。


「ほんとに!?ほんとに付き合ってくれるの!?」


「あぁ」


「夢じゃないよね!?夢じゃないよね!!!?」


「ちげぇよ」


「やっっったー!!!」


目の前で、喜び跳ねる愛歌。


それを、ぶっきらぼうな顔で見る俺。


だけど、愛歌は知らない。


この時俺が、顔の筋肉を緩めないように必死だったことを。




─優希side 完─
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