○○彼氏。【完】
─颯輝side─
いつもと同じ風景の駅。
本を読みながら歩く女性。
電話をかけながらはや歩きするサラリーマン。
ただ、今日は高校の受験日ということもあって、学生の姿はあまり見られなかった。
そんな光景を眺めながら電車を待っていると、もう一つ、いつもと違う光景が。
それは青ざめた表情をしてしゃがみこむ、制服姿の少女。
いつもなら、面倒ごとには巻き込まれたくないから絶対に関わらない。
だけど、その日は何故か声をかけてみようという気になって。
「大丈夫?」
そう声をかけると、ゆっくり顔をあげる女の子。
「体調わるいの?」
すかさず聞いてみると、みるみるうちに涙が溢れだし、
「ね、寝坊して・・・・・」
と口にしたかと思うと、とうとう泣き出してしまった。