○○彼氏。【完】

─颯輝side─


いつもと同じ風景の駅。


本を読みながら歩く女性。


電話をかけながらはや歩きするサラリーマン。


ただ、今日は高校の受験日ということもあって、学生の姿はあまり見られなかった。


そんな光景を眺めながら電車を待っていると、もう一つ、いつもと違う光景が。


それは青ざめた表情をしてしゃがみこむ、制服姿の少女。


いつもなら、面倒ごとには巻き込まれたくないから絶対に関わらない。


だけど、その日は何故か声をかけてみようという気になって。


「大丈夫?」


そう声をかけると、ゆっくり顔をあげる女の子。


「体調わるいの?」


すかさず聞いてみると、みるみるうちに涙が溢れだし、


「ね、寝坊して・・・・・」


と口にしたかと思うと、とうとう泣き出してしまった。
< 331 / 355 >

この作品をシェア

pagetop