アンダーサイカ
「…た、拓くんと潤ちゃんは、地上に帰ってるんでしょ?
じゃあ私も帰る。
遅くなるとお母さんが心配するし。」
「お子様らしい理由ですね。」
…それは自分でも思った。
ヨシヤから、さっきみたいな殺気みたいなものは感じられなかった。
私の気のせい?
食べるとかも、質(たち)の悪い冗談?
初対面で冗談言われても全然面白くないけど。
ここで座り込んでてもこの人からは逃げられない。
彼の言う通り、私は子供だ。
子供は子供なりに、逃げる手段をとるものだ。
「…ねえ、どうしたら帰してくれるの?
良い大人が、よその子供を家に帰さないなんて悪いんだよ。
お巡りさんに言い付けてやるから。」
やんわりと、幼い言葉で、
警察を引き合いに出してみるのだ。