アンダーサイカ
「ねえ、ヨシヤ。どうして私のこと食べたいの?」
「こら、僕は年上ですよ。呼び捨てはいけません。」
「教えてくれなきゃ呼び捨てやめないよ。」
戒めに反抗した私に、ヨシヤの笑顔が一瞬引き攣った。
“このガキ”。そう思ってるんだろうな、きっと。
でもすぐに人当たりのいい顔に戻った。
――カラカラカラ…
開店準備が整って、隔たりを作っていた引き戸を開けていく。
さっきまで何も無かった通路には、
「……っ!!」
さっきの黒い塊と似た雰囲気の生き物が、そこかしこに溢れていた。
腰くらいまでの背丈しかない黒い小人や、
ひょろりと細長い体のウナギみたいなオバケ。
形は様々だけど、それらは皆共通して墨で塗り潰したように真っ黒な姿をしていた。
“お客様”。ヨシヤはこのオバケ達をそう呼んでた。