ヤンデレパーティー
「や、やめっ、冬月!あんさんの右手が……!」
見ただけで複雑骨折の図式を思い出すほどに、冬月の右手はボロボロ。
赤紫に腫れ上がり、ボクシングのグローブみたいだ。手首から下がぶらんと振り子になり力なんかないはずが、包丁は未だに離れない。
痛みがないわけじゃないのは、冬月の充血した目と荒い息から分かる。
見るにも辛く、たまらず秋月は止めようとしたが。
「兄さんは優しいなぁ」
「なに、を……」
やっていることと言っていることが噛み合わない。相変わらず右手を打ち付けているのに、冬月は言うのだ。
「僕の心配してくれるんだね。うん、大丈夫だよ。こんな奴に僕を奪わせない。僕は大好きな兄さんにしかあげないんだ。
でも、その優しさが嬉しいよ。心配してくれるほど好きってことでしょ?
ああ、本当に嬉しい。今の兄さんの頭の中は、きっと僕しかいないんだ。もう考えただけで――」