ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 不服そうな和也だったけど、私がすがるように見つめたら、


「わかった。すぐ戻るからね?」


 と言ってくれた。


「お袋さんと話す時間が必要なんだから、慌てて戻る事はないぞ?」


 すかさずたっちゃんからそう言われ、和也はムッとした顔をしたものの、無言でリビングを出て行った。その時、私を心配そうな目で見た気がするのは、たぶん私の勘違いではないと思う。


 和也が行ってしまい、心細い気持ちでいたら、


「彩花ちゃん、座ってよ? 今、お茶持って来るから。そんな物じゃなくて、もっと美味しいのを」


「あの、どうぞお構いなく……」


「遠慮しないで?」


 そう言ってたっちゃんもリビングを出て行った。甘い香水の匂いを残して。


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