ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 靴を履き替えて中庭に出た。今日は快晴で風が強い。満開の桜の花びらが風に舞っていた。


 中庭では数人の男子がボールを蹴り合い、歓声を上げていた。まるで子供みたいだ。

 そしてその中には、小山君の姿もあった。


 中野和也は、塗料が剥げて錆びが出ているような、汚らしい鉄の手摺りに躊躇なく座り、私はその側に立ち、風で乱れる髪を手で押さえていた。


 こんな所に長居したら日に焼けちゃうじゃない……。やっぱり外になんか出るんじゃなかった。


「今日は臭わないんだな?」


「え?」


 不意に言われたので、私はその言葉の意味がわからなかった。


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