ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「香水」


「ああ……」


 その事か……


「つけるの止めたのか?」


 中野和也にそう聞かれ、


「つけるのを忘れただけよ」


 と答えてしまった。

 もし“うん”と答えたら、“なんで?”って聞かれると思う。そして、“あなたに臭いと言われたから”なんて、死んでも言いたくない。だから単に忘れた事にした。今朝、沙織に言われたように。


「なんだ、そうか……」


 心なしか、中野和也の声のトーンが下がった気がしたけど……


 それより、早く話をしなくっちゃ。こんな所に長居したら日に焼けちゃうし、髪の毛がグチャグチャになっちゃうから。


「ねえ、私の事をどう思ってるの?」


 顔を上げて桜の花を見て、「綺麗だなあ」なんて、悠長に呟いてる中野和也の横顔に向かい、私は単刀直入にそう聞いてみた。


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