あの頃、テレフォンボックスで
夕方になって、雨は止んだ。



風がでてきて
いつもより空気が冷たい。


真冬の夕暮れは
どんなに寒くても
郷愁に似た気持ちをもって
心が温まってくる気がするのに、


どうして冬に向かう時期の夕暮れは
こんなにもさみしいのだろう。


空はオレンジ色。
それからうすもも、
うす紫。


風が電線を揺らしている。




いつの間にか目を覚ました夫が
ベッドルームで私を呼ぶ。


「瞳子、おいで。」



「やっと雨が止んだから、
買物に行ってきます。
そろそろ、未来も帰ってくると思うの。
昨日まで文化祭だったから、
今日はクラブもサークルもないって言ってたから。」


私は初めて


夫を



受け入れなかった。
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