あの頃、テレフォンボックスで
こんなときに子どもの存在はありがたい。


未来は高校に入って初めての文化祭や後夜祭の話を
今日も上機嫌に話していた。

夫はときおり、「まだ早い」

だとか、「ハメをはずしすぎるな」だとか

説教くさいことを言っているけれど、
未来が久しぶりに
自分によく喋ってくれるので
嬉しさを隠しきれない顔をしていた。



食事がおわったら
そのまま・・・
未来が借りてきた映画のDVDを観る。


「私、今日はなんだか体がだるくて。
悪いけど先に休みます。
ごめんなさい。」


夫と未来をリビングルームに残して、
早々にベッドに潜りこんだ。



今は、夫の顔を見たくない。

何も考えたくないし、
考えられない。


夫のこと、
ピアスのこと、


ケイタのことも。



一体私は、
どうすればいいの?



そして、どうしたいのだろう。







< 110 / 201 >

この作品をシェア

pagetop