あの頃、テレフォンボックスで
約束の5時少し前に
その店のドアを開けた。
「銀の鈴」
ケイタに、
もう会わないって
言いに来るはずだった。
文化祭で彼の姿を見て
そこに、私の居場所などない、
とわかったから。
なのに、ケイタの姿を見ると
今の私は、ケイタなしでは
崩れ落ちてしまうような気がした。
こんな日に限って
ケイタは先に来て座っていた。
「トーコさん」
私を見てケイタは屈託なく笑う。
「早いのね。」
「うん、もうなんだか待ちきれなくて
30分くらい前に来たよ。」
胸のあたりにふつふつと
熱いものがこみ上げてくる。
「どうかした?」
ケイタに聞かれて、
ふと我にかえる。
ずっと見つめてしまう、
ケイタの目を。
ケイタの手の動き、
指先のしめすもの、
目で追うもの、
話しながら、首を傾ける癖。
その中に
真実があるのかどうか、
見つけようとして
ずっと見つめてしまう。
何が真実で
何が大事で
何が必要なのか。
その店のドアを開けた。
「銀の鈴」
ケイタに、
もう会わないって
言いに来るはずだった。
文化祭で彼の姿を見て
そこに、私の居場所などない、
とわかったから。
なのに、ケイタの姿を見ると
今の私は、ケイタなしでは
崩れ落ちてしまうような気がした。
こんな日に限って
ケイタは先に来て座っていた。
「トーコさん」
私を見てケイタは屈託なく笑う。
「早いのね。」
「うん、もうなんだか待ちきれなくて
30分くらい前に来たよ。」
胸のあたりにふつふつと
熱いものがこみ上げてくる。
「どうかした?」
ケイタに聞かれて、
ふと我にかえる。
ずっと見つめてしまう、
ケイタの目を。
ケイタの手の動き、
指先のしめすもの、
目で追うもの、
話しながら、首を傾ける癖。
その中に
真実があるのかどうか、
見つけようとして
ずっと見つめてしまう。
何が真実で
何が大事で
何が必要なのか。