わたしは女の子になる。

「じゃあ、俺もなんか書こうかなぁー」

「やったー…って、でもスペース無いね」


苦笑いしながら彼に言う。


「んー、じゃあこの一番上の微妙に余ってるところに書くわ」


私がペンを渡すと、一番上の辛うじて余っている細長いスペースに一生懸命何やら書いてくれる。



この先、どんな人とかかわって、どんな生き方をしても、それはきっと最善なのだけれど。


だけど、その生きていく道の隣に、君がいてほしい。


君の生きていく道の隣に、私がいたい。


それが、最善に、なってほしい。





「よっしゃ、できたー」

「みせてー」


それなりに整った彼の字を覗く。


「……ぱらだいむしふとってなぁに?」


「次の世代に移行することでしょ」


私が彼の書いた文を見ながら聞くと、さらりと彼が答えた。


「………なるほど」

「わかってないでしょ」

「わ、わかってるもん!」


笑う彼に言い返す。

別に、愛のセリフなんか書いてなかったけど、彼が書いてくれた言葉をこっそりとなぞってにやにやする。

この卒業アルバム、宝物決定。


.
< 13 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop