わたしは女の子になる。
「じゃあ、俺もなんか書こうかなぁー」
「やったー…って、でもスペース無いね」
苦笑いしながら彼に言う。
「んー、じゃあこの一番上の微妙に余ってるところに書くわ」
私がペンを渡すと、一番上の辛うじて余っている細長いスペースに一生懸命何やら書いてくれる。
この先、どんな人とかかわって、どんな生き方をしても、それはきっと最善なのだけれど。
だけど、その生きていく道の隣に、君がいてほしい。
君の生きていく道の隣に、私がいたい。
それが、最善に、なってほしい。
「よっしゃ、できたー」
「みせてー」
それなりに整った彼の字を覗く。
「……ぱらだいむしふとってなぁに?」
「次の世代に移行することでしょ」
私が彼の書いた文を見ながら聞くと、さらりと彼が答えた。
「………なるほど」
「わかってないでしょ」
「わ、わかってるもん!」
笑う彼に言い返す。
別に、愛のセリフなんか書いてなかったけど、彼が書いてくれた言葉をこっそりとなぞってにやにやする。
この卒業アルバム、宝物決定。
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