わたしは女の子になる。
「あー、どこだっけかなぁ、DVD……」
机の上を見ると、一昨年、彼の誕生日に私があげた絵が飾ってあるのが、ちらりと見えた。
以前、『ちゃんと机に飾ってあるよ』と言っていたのを聞いたことがあったけど、ほんとに飾ってくれているんだ。
なんか、すごく嬉しい。
「おー、あったあった」
机の上からDVDを見つけた彼が言う。
彼の部屋から先に出て、階段を降りようとしたが、彼がなかなか現れない。
このまま降りていいのか分からず、階段を何度も往復する。
家の階段よりもちょっと急な階段。
「なんか階段急だから、めっちゃ運動になるー!!」
「人んちの階段でエクササイズすんな!! お前絶対怪我するから早くおりろぉ!」
階段から叫ぶと、やっと来た彼が私にツッコむ。
「だって全然来ないからぁー」
「はいはい、早く降りる」
拗ねる私を軽くあしらい、彼が私の背中に手を添えながら階段を降りさせる。
背中、あったかい。
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