わたしは女の子になる。

再びダイニングに戻り、テーブルの上に置いてあったパソコンに持ってきたDVDを入れる。


「よいしょっと」


私のほうにパソコンの画面を向けて、彼は椅子ごと私の隣にくる。

彼はきっと何の意図もなくこうしたんだろうけど、肩が触れるくらい急に近づいたことで、私の胸の心拍数は跳ね上がる。


「なんか、CMのオマージュみたいなやつがあって――…」


再生されはじめたDVDを見ながら彼が私に説明する。


「こんなんどうやって作るの? チャプターとかあるじゃん」

「俺もよくわからん」


高校生の自主制作と呼ぶのには、あまりにもクオリティーが高すぎる。

さすが県下1との呼び声もある進学校。謎の技術を持った生徒もいるらしい。


DVDを見ている間、横にいる彼に、つい意識がいってしまって、なんとなくちゃんと見れなかった。

でも、文化祭の準備の様子が映っていたり、学校の先生も巻き込んだミニドラマとかもあって、なかなか面白かった。


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