わたしは女の子になる。
「そうだ、お菓子たべよっか。私もあまりのお菓子持ってきたし」
DVDを見終わって、彼に言う。
鞄から自分の分のお菓子を出す。
「俺もそれ食べていいの?」
私が取り出したタッパーを見ながら彼が言う。
「え…いいけど…でも、さっきあげたのと中身一緒だよ?」
「さっき貰ったのは、後のお楽しみにする!」
「え、そう? ならこれ半分こしよっか」
「うん」
嬉しそうに笑う彼。
そんなに、楽しみにしてくれてるのか、と胸がくすぐったくなる。
クッキーとマカロンも均等に分ける。
タルトも半分のつもりが、真ん中の飾りのナッツが邪魔して、うまく分けれなかった。
「飲み物、おかわりいります?」
私のカップを持って立ち上がった彼が聞く。
「あ、うん、これ結構甘いからコーヒーがいいなぁー」
「あー…、うちコーヒーあんま飲まないから、あるかわかんな…あった」
キッチンに行って戸棚をがさがさしてた彼が言う。
「あはは、やったねー」
ダイニングからキッチンを覗けるカウンターから、キッチンにいる彼を見る。
インスタントのコーヒーの粉末を入れて、お湯を注ぐ。
ふわり、とコーヒーの香りがする。
あ、ネスカフェだ。
うちと一緒。
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