わたしは女の子になる。

住宅街の中に立つ彼の家。

家族三人で住むには十分すぎるくらいに広い。


駅に行くまでの道のりに彼の家があるから、外観だけは何度も見ていた。


『あーそーぼー』


と、メールをすると、ちょっとして彼が出てくる。

茶色のパーカーに下はジャージで、完全にお家モード。どんな格好でも、彼は可愛い。


「いらっしゃい」


玄関につづくちょっとした庭の門を開けながら彼が言う。

「自転車ここでいい?」

多分車が置かれると思われる場所に、とりあえず自転車を置いていた。

「んー、盗まれてもいいなら」

笑いながら彼が言う。

「え、まあいいけど」

「いいのかよ」

と私に突っ込みながら、結局彼の家の庭の自転車置き場に私の自転車を置いてくれた。



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