わたしは女の子になる。

「おじゃましまーす」


「はいどーぞ」


「適当に座ってて。なんか飲み物用意するからー」

リビングに案内されてから、そう彼が言って、キッチンに引っ込んでいった。

「はぁーい」


と答えたものの、持ってきたお菓子が無事か確認した後は、することもなく、リビングのカーペットに座って周りを眺める。

彼のご両親は仕事で、この家には、完全に私と彼しかいない。
なんか、無性に緊張してしまう。


テレビのところには、彼が大会で優勝した時の賞状が飾ってあったり、彼の後輩から貰ったと思われる寄せ書きされた色紙が飾ってあった。
色紙の真ん中には弓道の袴を着た彼の写真。

なんか、いつもよりカッコよさ5割増しって感じ。
思わずにやにやしてしまうよ。


「なんでそんなとこ座ってんのー、こっちおいで。」

リビングとつながったところにキッチンとダイニングがあって、そこでお茶の準備をしている彼が言う。

「どこ座っていい?」

「どこでもどーぞ」


ダイニングテーブルの上には赤いノートパソコンが置いてある。
一緒に新聞とかも置いてある。


毎日、ここで、ご飯食べたりしてるんだよね。



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