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 陣君が連れてきたのは、隠れ家的な小さなレストランだった。
 灰色のタイルを緑の蔦が覆っている。看板も丸太を組み合わせたものだ。

「なんか、アニメに出てくるお店みたい」
「だよな。美味しいんだよ、ここ」

 陣君が扉を開けて、待ってくれる。その姿が気障な紳士のようで笑えた。

「陣君ったら、紳士ですなー」
「あはは」

 お昼時というのもあってか、店は少し混んでいた。空いている席について、メニューを見る。

「うーん。ここのオススメは?」
「特製ハンバーグ特大セットB」

 陣君の言葉に、メニューを確認すれば、それは量を意識したものだった。

「……無理、絶対食べきれない」
「ははは、俺は平気!ここの自家製ソースが美味しいんだ」

 陣君につられて、私は特製ハンバーグの普通サイズのセットを頼んだ。陣君は言葉通り特大セットを注文した。

「みあっちはさ、プログラマーになるの?」
「まだ、わからない。正直、プログラミングの才能なさそうだから」

 まだ始めたばかりで、右も左もわからず、手間取っているのが今の私。
 まだ、将来のことはよくわからない。

「でも、一歩一歩でも良いから、前に進めたら良いと思う」

 将来のことも、この目の前にある恋も。

「そうだな。一歩一歩か。なんか良い言葉だな」
「うん。まずは自分ができることからだよ」

 そんな話をしているうちに、料理が届いた。予想に違わず、陣君の分は、物凄い量だった。
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