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「美味しそう。すっごい良い匂い」
「いただきまーっす」
陣君はにこにこしながら、食べ始めた。私も彼に続く。
「美味しい」
「だろ?」
私達は美味しい料理に、舌鼓を打ちながら、食事の合間の会話を楽しむ。
「みあっちは彼氏とかいないの?」
「えっ、いないよ?」
「本当に?」
「嘘ついてどうするの」
私は少しだけ寂しい気持ちになった。
「前ね、好きな人はいたんだ。いつも一緒にいてくれた人。だけど、嫌な目にあったんだ」
「そっか……。大丈夫だよ、きっと良い人が現れるから」
陣君はそうやって励ましてくれた。
良い人が現れる、か。
それが、陣君だったら良いのに。
「陣君は?」
「ん?」
食事も終わりに近付いた頃、私が口を開いた。
「陣君は、彼女は?」
「いるよ」
その答えを聞いた瞬間、私の中で高まっていたものが、一気に凍りついた。
だけど、なぜか私は、ああやっぱりなと納得してしまっていたんだ。
「へぇ、どれくらい付き合ってるの?」
「六年、かな」
こんなに格好いい人に、彼女がいないがなかった。
やっぱり、陣君は誰にでも優しいだけで、私はその他大勢の一人だったんだ。