抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
「なら、あたしの伯母さんと一緒の所だ。」
「優奈ちゃんの伯母さん?なんて名前?」
「美都。源治名は確か…桜子とかいったっけ?」
「あぁ!桜子さんか。知ってる!緋月憐華のNo.1キャバ嬢の…」
舞がそう言った瞬間、優奈の頭の中に稲妻が走り抜けるような衝撃が走る。
(あ…あの美都が燐塊町No.1の売り上げを記録する緋月憐華のNo.1キャバ嬢!?嘘…あんななのに?あんななのに!?)
「嘘…」
「本当。」
「え…?」
小さな声で言ったのに即答された事と、舞から聞かされた衝撃的な事実とが入り混じり、思わず変な声が出る。
「いや、何でもない。」
「そう?」
そう言うと、舞は裏でニヤッ…と不敵な笑みを浮かべた。
無論、優奈は気付いていない。
そうこうしていると、いつの間にか表に繋がる参道の前に着いていた。
「着いたよ。」
「え?優奈ちゃんは一緒に行かないの?」
舞は不思議そうな表情をする。
「話してなかったけど、あたしはまだ『何でも屋』の仕事中だから…まだここにいなきゃ。」
「何でも屋?」
「そう、この街で問題が起きたら解決する。それが生業。」
優奈は参道を挟んで建っている、イルミネーションで光り輝いている『ようこそ』と書かれたネオン街の入り口ゲートを見上げた。
「ふーん。じゃあ優奈ちゃんは、この街の正義の味方なんだね。」
「さぁ…どうだか?」
すると優奈は少し寂しげな表情で俯く。
「優奈ちゃん…?」
(…あたしは、こんな事しかできない人間だからさ…)
心の中でそう思った。
先程までの様子とは一変した様子の優奈を見て、舞は優奈の方に近づき、
「大丈夫だよ。」
とだけ言い、優奈の頭に手をポンと置いて撫でる。
その瞬間、優奈は何故かゾクッと嫌な寒気が走ったのを感じた。
(やっぱり…舞とは一緒にいたくない…。)
気が付くと身体が小刻みに揺れている事に気付いた。
(…ていうか今、心を見透かされたような気がしたが…)
そう思うと、舞はゆっくりと手を離す。
その時の解放感というか爽快感というか…それは何ていうか言葉にならない物があった。
「…うん。ありがとう。」
ただ、流石に何もしないのは駄目だろう。
とりあえずそう言ったものの唇が震えて上手く喋れなかった。
だから、とりあえず笑顔を作ってみせた。
舞はその様子を確認すると、再びフッ…と微笑んでから、ゲートの外へと向かっていき、そして…
「じゃあね〜!!」
一瞬、優奈の方を振り返ってからそう言った。