抵抗軍物語 ディスティニーズクロス

運命の出会い


一、

翌日…

「ただいま〜…」

現在、朝午前8時。

緋月憐華での仕事やその他もろもろを終えて、美都が店へと帰ってきた。
朝帰りにしては遅すぎる時間だ。

(また優奈に怒られるかなぁ〜)

そう思いながらも、

「優奈〜?今帰ったよ〜?」

と、優奈を呼んでみる。

しかし、いつもならここで返ってくる、優奈からの返事が返ってこない。

「あれ?優奈ちゃ〜ん?」

美都は例の漆塗りの下駄を玄関に脱ぎ捨て、奥のリビングへと向かう。
カラン…という下駄の落ちる音が虚しく響いた。






優奈はリビング中央にあるソファーの上に寝転んでいた。

「お〜い、優奈〜」

そう声を掛けてみたり、悪ふざけで優奈の頬っぺたをつっついたりしてみる。
が、優奈は全く動かない。

(あれ?もしかして…)

ここで美都はある事に気付く。

「…眠ってる。」






おそらく、昨日帰りが遅かったのだろう。

優奈はソファーの上で、スヤスヤと寝息を立てて眠っていた。
きっと今は、何をしても起きないだろう。

だが、その顔は少し苦しんでいるようにも見えた。

「さては…昨日何か悪い事あったのね。」

そう言うと美都は優奈の顔に掛かった髪の毛をどかしてやり、優奈の頭を優しく撫でてやった。

「お疲れ様。よく頑張ったね。」

そう呟くとニコッ…と微笑んで、押し入れから薄い布団を取って、優奈に掛けてやった。

そしてリビングを出て、自分の部屋へ行き、部屋着のジャージへと着替える。

(さて…とりあえず、お腹空いたからご飯にしよう。)

そして再びリビングに戻った後、キッチンへと向かった。






それからしばらくした後、野菜を包丁で切る音と、フライパンの油の音で優奈は目を覚ました。

(…あれ?いつの間に寝ちゃったんだろう…。)

「おはよう、やっと起きた?」

するとそれに気付いた美都が、顔だけ優奈の方に向けてキッチンから尋ねた。

「美都さん。朝帰りですか〜?」

まだ若干眠たいのか、優奈は目を擦り、生あくびをしながら美都に尋ねる。

「まぁ、そんな事気にしないで。それより朝ご飯食べな。できてるから。」

美都は優奈が眠っていたソファーの前にある、テーブルを指差して言う。

見るとそこには、美都が作ったであろう朝食が置かれていた。






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