抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
それから少しすると、美都も自分の分の朝食を用意し、優奈の向かいに座って食べ始める。

「…あ、そうだ美都さん。」

優奈はふ…と、昨日舞から聞いた事を思い出した。

「美都さんって緋月憐華のNo.1キャバ嬢だったんですね。」

「あら?ばれちゃった?内緒にしておこうと思ったのに。」

どうやら本当のようだ。
普通ならここで大きなリアクションでもするべきなのだろう。
…が、今の優奈は寝起きで昨日の疲れも溜まっている所為なのか、そんな事をする気力も体力も持ち合わせてはいない。
ので、

「あ、そうですか。」

とだけ答えておいた。

「え〜、優奈ちゃんリアクション薄くない〜?驚愕の真実ってヤツなのに〜。」

「スイマセン。今寝起きだし…、疲れ溜まってるんで…」

「あっそ…。まぁ、じゃなけりゃこんな所で寝ないわよね。」

つまり、昨日はかなり大変だったという事だ。
そして、昨日は仕事が多かったという事でもある。

「…で?昨日の収入はどれくらいあったの?」

すると美都が目の色を変えてそう尋ねてきた。

(金の亡者め…)

優奈はそう思いながらも、

「あ〜、…まだ確認してないから判らないけど、多分20万くらいはあるんじゃないですかね。昨日は結構仕事多かったし…」

そう言い、自分の足元にある鞄を見た。
その鞄には依頼の報酬金の他にも様々な仕事道具が入っている。

「へぇ、どんな?」

優奈は順を追って説明した。

「まず最初はキャバクラでセクハラ犯退治でしょ…。その次に政府要人…といってもぺーぺー議員だけど。その護衛。これが一番収入多かったかな…。あと、昨日は強盗が出て、それ捕まえてサツから謝礼貰って…まぁ、これがお金を貰った依頼ですね。その他にもお金は貰ってないけど、乱闘を沈静化したり、誘拐されそうになってる女の子助けたり…まぁ色々。」

「ふーん。大変ねぇ。…ってかアンタ、最近どんどん口悪くなっていってない?ぺーぺー(新米)とかサツ(警察)とか…」

「そうですか?」

優奈はシチューをズズッ…と飲みながら聞いた。

(…全く、誰に似たのか。)

美都は心の中で呟き、ふと脳裏に亡き光郎の顔を思い浮かべるのであった。







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