抵抗軍物語 ディスティニーズクロス
その所為でか毎日事件や犯罪等が起こり、もう今では地元の警察もお手上げ状態の無法地帯と化しているのがこの町の実態でもある。
美都の言う『こんな仕事』とは、その問題等を解決するのを生業としている『何でも屋 神無月』そのものだった。
確かに…美都の言う事は一理も二理もあるし正しい事くらい優奈にも判っている。
だが…
(仕方ないじゃん…。もう放ってくれよ…。)
優奈は極度の人間嫌いだ。理由は多々あるが、強いてあげるなら本土にある学校へ通っていた時に、自らの容姿の事で周りの女子に疎まれ、虐められた経験がある事が大きいだろう。
きっかけは…身勝手な嫉妬心。
軽くだけ説明しておこう。
最初は無視や悪口といった軽い物だったのだが、それに対して優奈が何の苦しみの色を見せずにいると、虐めはどんどん酷くなっていった。
暴力、嫌がらせ…
最終的には、カッターナイフで肌を切り付けられたり、冬場の教室に置かれたストーブに無理やり手を触れさせられ、重度の火傷を追わされたりもされた。
それに…虐めを見ている、優奈が悪くない事を知っているにも関わらず、優奈を助けてくれた人などいなかった。
それに耐え兼ね自殺まで考えるようになり始めた頃…。
ある日…優奈がそれまでずっと、必死に繋ぎとめていた何かの線がプツッと切れたような…そんな音が本人の中で響いた。
そしてハッと気付いた時、自分の足元には…今まで散々自分を虐めてきた奴らが倒れていた。
優奈にとって二度と思い出したくない記憶だ。
それは新聞にまで乗り、後に一時ではあるものの世間を騒がせる事となった。
以来、学校には行ってない。
転校当初はまだ楽しかった。
クラスメイトは皆優しくて明るい人ばかりだった。
そう…思ってた。
それが間違いだったのだ。
だから…
(信用なんてしない。)
本人にも理由は判らないのだが、優奈は元々持っている力が異様に強い。
特に自身の危険を感じた時に働く自己防衛本能と、それに乗じて働く戦闘能力…。
この二つに特化している。
(あたしは、あたしのこの力は…誰かを傷つける事しかできない。あたしの近くにいたら、皆不幸になる。だからあたしは…
人と関わっちゃいけない…。)
また傷つけるくらいなら、一人の方がマシだ。
そうとまで思う。
前言撤回しよう。
他人と関わるのが嫌い…というよりは、他人と関わって傷つけるのが怖い。
そう言った方が正しいのだろう。
だが…学校での事件後、町の人は何があったのか知っていた筈なのに、優奈の事を怒りもせず、咎めもせず、いつも通りの笑顔で接してくれた。
それだけでも、ボロボロになった優奈の心は十分救われた。
だから自分のこの力を、町の役に立てたい。
自分を救ってくれた人々に恩返しがしたい…。
そう思って、この仕事を始めた。