純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
思えば、桐生さんはあのパンフレットの件を知っているわけで、あの手紙の事を呟いたとき、彼の頭の中でそれがつながったようだ。
「それはまずいな」
「はい……」
深刻な顔つきをした彼は、何かを考え始めた。
「午前中のアポは?」
「いえ。今日はありません。昨日の模擬挙式のお礼の電話くらいで」
「それなら後でもいいな。とりあえず、寝ろ。ここしかないな。だけど、ここなら安全だから」
「いえ。仕事が……」
「そんなフラフラで中途半端なのはミスにつながる。とりあえずお前は寝ること。その代り、よだれ垂らすなよ?」
半ば無理矢理、私にそう命令すると、部屋を出ていく。
それでもためらう私。だけど、なんとなくホッとして。
ここなら安心。皆がいるここなら、あの手紙の送り主だって、簡単に入ってくることなんてできない。
「よだれだけ余計よ……」
相変わらず、私をイラつかせる一言を含んではいるけれど、その言葉はとても優しいものだった。