純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
やっと、何とか急ぎの仕事が片付いたときはもう夜の10時を過ぎていた。
全員が帰ってしまったフロアの電気を消して、社員用の出入り口にカギをかけて、そこを出る。
いつもは電車で帰るのだけれど、今日はタクシーを捕まえて向かう。
彼の、マンションに。
どうして……こんな風にいなくなるなんて、ずるいよ。
本当は泣きそうだった。
何故なら、朝、支配人が彼がいなくなったことを告げた時、恐ろしいほどの喪失感にさいなまれたからだ。
ずっと彼が気になっていた。
歩とあんな別れ方をしても、こんなにも喪失感を感じることはなかった気がする。
それはきっと、桐生さんがいたから、だ。