純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「はっ、なんだよここ。最低だな」
「最低なのは、お客様です」
抑揚のない声でそう口にする桐生さんが、かえって怖い。
「てめぇ」
怒り狂った客が、桐生さんの胸ぐらをつかむ。
けれど、彼は少しも動じる様子がない。
「殴りたければ殴れば?
腹の子の痛みは、そんなもんじゃない。
子供が欲しくもないのに、つけずにヤったお前たちが悪い」
突然言葉づかいが変わった桐生さんの怒りが、ビンビン伝わってくる。
一瞬怯んだ客は、桐生さんを睨みながらも手を引いて、「最低な店だ」と言いながら、そそくさと出て行った。
「おい、安永。口が開いてる」
「はっ、えっ」
慌てて口に手をやると、ニヤリと笑った桐生さん。
「冗談だよ。よくやった」
「はっ?」
「頑張れよ、純悪女」
お店の利益を無駄にしてしまったというのに、よくやっただなんて言う桐生さんが信じられない。
仕事人間だと思っていたし。
最後の言葉は、全然気に入らないけど。