純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
桐生さんにそんなことを言われたのは初めてだ。
けれど、歩のあの行動を思い浮かべてしまうと、女としての魅力が足りないんだって、自分でもそう思って。
「スイマセン」
気持ちを落ち着けて、彼からそっと離れると、ポンと頭に手を置いてほんの少しだけ笑った気がした。
そう言えば、彼が笑うところなんて見たことがない。
バカにして笑うことはあっても、それ以外は……。
ポケットからハンカチを出して、涙を拭いていると、隣で電話をかけ始めた彼。
「あぁ、後はよろしく」
「すいません、仕事ですよね」
「直帰することにした。俺、早番だったから。この服じゃ、もう無理だし」
そう言われてハッと彼を見ると、肩が涙でビショビショに濡れて、オマケに私がギュっと握ったせいでシワシワになったジャケット。