待ち合わせのバス停で。
「逃げてねーよ」
「逃げてるよ。…だってお前はもう、“ここ”に来る意味はねーだろ?」
「……」
「お前の地元はここじゃねーか、バス停に来る理由がないだろ」
黄月は立ち上がって俺の肩を掴む。
「もう…もういいだろ?」
「…なにが?」
黄月の言ってる意味が分からない。
「梨花ちゃんはもう…いないんだぞ?」
黄月の言葉を聞いた瞬間、頭の奥が痛くなる。
あいつが…いない?
こいつ何言ってんだよ。
「あいつはちゃんといるよ」
「っ…なぁ、桜。目覚ませよ!梨花ちゃんは…死んだんだよ」
黄月を見ると、黄月の目には涙が溜まっていた。