待ち合わせのバス停で。




あいつが…死んだ…?



「そんなこと…あるわけねーだろ」



今日だって…今日だってあいつは来る。


もう少ししたらあいつは来る。




「毎日放課後ここに来ても梨花ちゃんは来てねーだろ…?

梨花ちゃんが乗るバスが来ても、乗る奴は来てねーだろ…?


いい加減分かれよ…」




いや、あいつは来る。


絶対に来る。




だってあいつは…_______。


あいつはあの時今から行くって言ったんだ。

あの時確かに電話越しで言ったんだ。



「梨花ちゃんはここに来る途中、雪でスリップした車に跳ねられて死んだんだよ…。


桜、お前が俺に言ったんだろうが…“梨花が死んだ”って」


「なんだよそれ…そんなこと言うわけねーだろ!」


冗談でもそんなこと言うわけねーだろ。



「確かに言ったんだよ!お前は声を震わせて言ったんだよ!」


俺が?

なんで?


あいつが死んでる?

なんで?



あいつはいない?

なんで?



あいつは来ない?


なんで?






だってあいつは…________



「梨花ちゃんは死んだんだ」



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