境界線
「…お前、あんな年下絶対にやめとけよ」
リョウスケはわざと吐息を耳にかけるように話す。それがくすぐったくて、でもどこか気持ち良くて、顔がほてる。
「だから別に私別に好きなんか言ってない」
「好きとか言い出す前に止めようとしてんだよ」
「おせっかい。やめて」
強引なリョウスケを引きはがそうとしたとき、彼の唇が私を襲った。
「…っ…ちょっ、と!」
どれだけ抵抗しても離れてくれない。リョウスケの舌が私の口内を激しくまさぐる。頭がぼうっとしだしたころ、唇がやっと離れた。
「…何すんの」
「お前がおせっかいとか言うからいらついた」
「意味わかんない」
浮気して、散々私のこと傷つけた男の心配なんかいらない。それに信用もできない。
「馬鹿。嫌い。近づかないで」
私は自分からリョウスケの横から移動し向かいのソファに座った。
幸いながらもこの夜、これ以上リョウスケが迫っていくることはなかった。