移り気な男とワケあり少女の×××!

「なら行きましょう? 私が成り代わる小間使いを捕まえなければ。」

リューは静かに頷く。
今回は別に人を殺す仕事でも大切な情報を集める仕事でもない。
ただのアシェルの修行のための潜入であり、言ってしまえばアシェルの我が儘だ。
そんなことに付き合わせる罪悪感もある。

(まぁ、リューには息抜きしてもらおう。特に危険な仕事じゃないし、リューの出番もないだろうし。)

この時のアシェルは結果的に甘かった、と言うしかない。
どうしてゾルガがあれほど心配するのか、リューが自分の仕事をなげうってまでアシェルについていこうとするのか、全く考えていなかった。


うららかな春の日差しの中、運命の歯車は回る。
移り気な男とワケあり少女が出会うまで、あと少し。


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