移り気な男とワケあり少女の×××!
だいたい、自分はフリードリヒの身の回りの世話をする小間使いと入れ替わるつもりなので良いのだが、リューは変装なんてできない。
まさか、入れ替わる1ヶ月間、ずっと屋敷に身を隠しながら生活するわけではないだろう。
と、思うがリューだったらやりかねないとも思う。
そんなことをされては甚だ迷惑だし、何よりリューが疲れてしまう。

そんなアシェルの気持ちを汲んだゾルガはニカッと笑って見せた。

「大丈夫だ。リューは庭師として潜入させる。」
「え、リューって花の手入れが出来るんですか?」
「草抜きくらいなら。」

不意に後ろで声がして、思い切り振り返る。

「リュー!」
「今日この町から立つんでしょ? 僕も一緒に行く。」

冷たい美しさは、アシェルの前だけ花咲くように変わる。
黒を身にまとったリューはその髪も、瞳すら黒だ。

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