移り気な男とワケあり少女の×××!
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メイベルは項垂れながら賑わう街を歩いていた。
わかってはいるのだ。
主を愛してはならない。
フリードは天上の人。
メイベルとて、貴族の娘なのだ。
ただ働きに出ないと家が存続できない没落下流貴族の娘など、ワルドローズ公爵家子息としてはお呼びでない。
「フリード様…」
このまま小間使いを続けていたら、間違えてしまいそうで、怖い。
しかし、辞めると家が存続できない。
負の連鎖で、メイベルはかんじがらめになってしまっていた。
「あの、すいません。」
不意に呼び掛けられて視線を上げる。
その光景に、メイベルは目を見開いた。
「な、な…なっ」
「私もびっくりして声を掛けたんです!」
メイベルの目の前にいる少女は自分と瓜二つの顔をしていたのだ。